UX KANSAI 2016 / the 2nd session:Ethnography / F.W. & KA method @KYOTO
UX KANSAI 2016 / the 2nd session:
Ethnography / Field Work & KA method @KYOTO
2016.06.04.FRI @Hatena
Lecture:Mr.Satoshi Asano
月1回のUX KANSAI。
今回は京都のはてなさんで「Ethnography/Field WorkとKA法」をテーマに
10:00~18:00過ぎまでのロングセッション。
Rainy Seasonになったばかりの京都で
Field Workも挟む今回のセッション。
少し天気を心配したけれども、
セッションに向かう朝の御池通りで出会った
まる顔のこの女の子に、思わずほっこり。
『誰かがいい天気を願って、日々を過ごす。』
スクリーンで簡単に天気予報を知ることができる昨今では、
そんな気持ちの動きすら、すっかり減ってしまっていて
日常のさりげない場所で、こういう発見があると
少し立ち止まって、できるだけネジを巻き直すようにしています。
閑話休題。
以下、セッションのラフサマリー。
セッションの冒頭では、
エスノグラフィに関する浅野先生のレクチャー。
(酒やけ!?と思うくらい低い声の先生でしたが、喉の調整が悪かったようです。お大事に。)
エスノグラフィは
観察・記述/インタビューした事実を分析し
「生活者」の日常行動を包括的に知ることで、
潜在的な価値や欲求を明らかにする機会探索・発見型の手法。
エスノグラフィでは仮説を立てずに、フィールドワークを行い、
問いを立てて観察・調査した結果を分析し、可視化します。
↑HCDのプロセスでは、入口にあたる『調べる』や
設計したもの評価して『確かめる』のフェーズで使われます。
また、応用エスノグラフィでは、大きく2つに分けられて
イノベーションが目的であれば、1であることが多いです。
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1. 新しいコンセプト開発:主に行為を通した生活価値観に着目
2. 改善や最適化:主に現場での行為に着目(行動観察)
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浅野先生がおっしゃってたクックパッドのお話も、1ですね。
あと、個人経験として。
エスノグラフィ…というより(それは手法なので)
『調べる』全般フェーズでのクライアントの握りと上申について。
クライアントによっては調査に対する有効と認める母数が異なるケースも多々あり
調査に入る前の事前クライアント側のそんな事情把握・ヒアリングも大切。
(マーケティングやリサーチをしっかりやっている会社こそ。)
リサーチ側の思い込みだけでやっていると、使えない、やり直しになると
時間もコストもかかり、信用も落としてしまいます。(捉え用によっては事故)
そして、定量や定性調査とあわせてエスノグラフィも揃えて上申するのが重要。
マーケティングよりのクライアントの中には、
定量・定性を重視する傾向もあり、
エスノグラフィはエレメントの1つとして後押しをし、
全体を議論するのが、納得を得やすく、ベターだと思っています。
この図の両軸を把握して語れる必要あり、でしょうか。
クライアント担当、アナリスト、リサーチャー、プロデュサー等、
関係者の方向性を予め一致させておくのも重要です。
WebではKPI、PV、CVみたいな言葉をすぐに羅列して、
UXと程遠いジャンプをしてしまう人も少なくいはないのですが
(そういう人ほど案件のKGIもLTVも知らなくて矛盾し、
ぼんやりしたカスタマージャーニーマップを描く傾向もあり)
調査レイヤーから入らない場合も
このあたりの視点からヒアリングするだけで色んな事が違ってくるんだと思います。
Our Field Work:人はなぜ食べるのか——————————————–
前回同様、私達のとったフローをざざっと。
1:出発前メンバーで「人はなぜ食べるのか」のテーマに対して
2つの対象をディスカッション。
両極の差が出るような2軸を全員でアイデアフラッシュ。
全員で反対になるような食べ物のワードペアを、
1枚のポストイットに3分程で自由に発話しながら書き出し。
「かたい/柔らかい」「パン/おにぎり」や「高級/ワンコイン」など
幅広く20枚は出たのではないでしょうか。
2:この中から京都のFWということもあり
「京都っぽいもの/ジェネラルフード=ファーストフード」の対象に決め
「京都のどこで」「誰が」も、同様にポストイットでアイデアフラッシュ。
→両極差がでるように、この2つで設定
・観光客が四条でファーストフードを食べる
・京都に住む地の人が三条商店街のディープな店で京都っぽいものを食べる
3:女性、HCDの資格者は別々になるように分かれて出発。(私はFFチーム)
4:FFチームは、なかなかお店に外国人観光客がいなくて
外国人観光客ハントに大苦戦。
四条界隈のファーストフード店を結果的に10店以上は回りました。
人生でこんなにファーストフードばかり探し歩くことはもうないと思う…。
(土地勘なし・方向音痴の私は京都に詳しい二人のメンバーに大感謝!
いろんなところに連れて行ってもらえた気持ちになる。FFばかりだけど。)
5:入店時やオーダーの様子、食べているシーンを観察・メモ。
意外と外国人観光客へのオペレーションが追い付けていないお店も多いです。
「それでもなぜオーダーできているのか?」の疑問から
「このオーダーってどう感じてるんだろう?」など
ひとつのシチュエーションを突っ込んでもいろいろ疑問は出てきます。
3組(=差が出るように、family/friends/School Trip)の
利用前・利用中・利用後のシーンを観察していて共通したのは、
・一言も話をしない
・笑わない、楽しそうではない、おいしそうでもない
・マップやi-Phoneで観光情報リサーチ
・短時間の滞在
と、私達が行きたい楽しい海外旅行とはかけ離れて
思いのほか、闇が深そうな様子ばかりでした。
School Tripでハワイから来てる学生さんに英語でインタビューしてみると
「どこへいっていいかわからないので、仕方なくここに入った」
と、ハワイでのメジャーフードをオーダーして食べていたのも
このクラスターの象徴的なエピソードです。
(注文もうまくいかなくて、ミスして大量のパーティセットが出てきてたのも印象的)
はてなさんへ戻る帰り道も
「せっかく日本にきてるんだから、楽しい旅にしてほしいよね」
と、話しては、しんみり、少し胸が痛んだFWでした。
(のちにこの言葉もつながります)
*三条商店街チームは正反対で楽しそうだったなあ…!
6.帰ってきてから、それぞれの調査結果に基づいて
KA法でユーザーにとっての価値を抽出。
共通する価値をグルーピングし、最大公約数のニーズや価値を見出します。
私達の場合、もう一つのグループと価値が交わることがなかったので
それぞれまだ分かれてワーク。
ここでは何でも「価値」と言いがちですが、
「その場所で過ごすことをその人はどう感じてるのか」
「その人は何に本当は困っているのか」
「その人の気持ちはどう変化したのか」
など深いところをどんどんブレークダウンしていきます。
「価値」を端的に行動で語ってしまうのではなく、
(例えば「早く食べる価値」「共通できる価値」)
『行動を通して、人の気持ちがどこからどこへどのように変化したのか』に注目するのが
より深いところへ辿りつけるポイントでは、と個人的には思っています。
6.FFチームの「なぜ食べるのか?」の解がまとまってから、少しだけ時間があったので
三条商店街チームのまとめているのを俯瞰して、少しジャンプさせられる要素を足して、
「この二つをつなげるようなサービスがあればいいのに」の会話をして、タイムアップ。
7.恒例のプレゼンタイム。
私達は話す人すら決めてなかったのですが、
直前で割り振って3人リレー方式でぶっつけプレゼン。
WSの冒頭から、方向性擦り合わせや、
要所ではお互いの進捗を話したりして、
可視化も比較的できていたので、3人の話は繋がってました。
みんなそれぞれが考えて動き、ファインディングも感じていたので、
その分、伝えたいことがはっきりとしていたのだと思います。
結果自分の言葉でしっかり、強く発信できた。
あと、私達のチームメンバーは、バックグラウンドはバラバラだけれども、
理解力、判断力、表現力が高い方ばかりです。素晴らしい。
メンバーの個性とポテンシャルがうまく引き出せて、ワークアウトできていると思います。
浅野先生の講評でも、
それぞれの価値・ニーズをつなげるサービスデザインの話もあがり、
WSでのファインディングに、サービス視点での現実味も加わって
スタートから通して、流れを感じることができてよかったです。
みなさま、お疲れさまでした!
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振り返って、今回の個人の反省点は
「オーディエンスを見て、笑顔でプレゼンする!」ですね。
くっそー。油断した!スマイル。次はスマイルするからねー!!!
*英語でSpeechやRemarksをするとき、いつも言われた
“Keep your smile!!”, “Don’t be shy!!”, “Open your big mouth!!”
これ、ホント、大事ですね。女性は特に。
長くなりましたが、次回は7月大阪で。
See you next time!! Thank you.
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■archive
2016.05.14.SAT UX KANSAI 2016 / the 1st session:UXD Boot Camp
UX KANSAI
【レポート】UXDセミナーvol.2「フィールドワークとKA法」
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<参考>
エスノグラフィについては、
HCD-Net教育セミナーでの安藤先生のスライドシェアも参考になります。