思い出。

娘を育ててまだ三年足らず。

なのに
家の中には娘がくれた思い出がいろんなところあって
忘れたり、色あせてしまったりするものもあるのだろうけど
それでもそこにとっておかれたものたちは
どんどん染み込んで離れない、
あどけなさを這わせながら、
蔦のようにあふれていくのだと思う。

他人からしたらガラクタやゴミにしか見えないものであっても
私にとっては宝物へとなっていく。

 

「どうして
実家はこんなにものがあふれてるんだろう、
なんで捨てられないんだろう」
実家へ帰る度によく思っていたのだけど
思い出と一緒に生きていく、
そういうことなのかもしれない。

自分が大事にしてきたものの欠片が
最後は吸い込まれて
自分の一部になっていくんじゃないか、なんて
ちょっとぞっとしつつも
それが幸せのようにも思ってしまう。

 

また大きな地震が起きて
娘がくれたプレゼントが一瞬でなくなってしまったら。
また、阪神大震災のときみたいに
壊れた家から拾いだすことになってしまったら。

時々、怖くなる。

ヘリが落ちて、地震が起きて、原発は緊急事態と声明し、
空爆でたくさんの命がまた失われていて、
夫がいない、こんな時だから、思う。

当時、小学生だった私は
なんでそんなものを拾うんだろうって思う私のものまで
母は崩れた家から、必死で取り出していた。
余震が続く中
雨が降るまでの限られた時間で
埋もれた他のたくさんの家財よりも
母がそれを選んだこと、
自分もこうして母親になって
少しわかるようになった。
取り戻せないものばかりだから。

 

東日本の震災以降、
数えきれないくらい夜中に考えては
はっきりと何も掴めないままで、
また今夜もゆらゆらと耽ってしまう。

 

あのとき私が離れることができたのは
娘との時間がまだ短くて
引っ越して2週間も経っていなくて
そこに思い出がなかったからなのかもしれない。

今、もし、同じことが起きたとしたら
私は同じ判断ができるのだろうか。

離れることは難しい。

 

no

 

どうか、これ以上悪いことが起きませんように。

笑顔でまた会えますように。

願うことしかできない幾つもの夜に。

About maopucci

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2013/08/06 2:31:35 by maopucci
Categories: a woman, family, Hare, off-time thinking, private | Leave a comment

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